ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------40

Excelはワープロソフト
ではありません!(後編)



 先月に続いて、Excelの基礎知識講座です。先月では、いかに皆さんがExcelを間違って使っているか、Excelの設計思想を理解していないかについて解説しましたが、今回は、少し具体的に使用方法のヒントを紹介します。
 くれぐれも発想が、ワープロ的にならないで下さい。(ワープロ的とは、最終的な印刷イメージにとらわれてExcelの良さを考慮せずに表のデータを作ることです。)

  1.  そのセルに入らないからと言って次のセルに書くのはやめましょう。意味ある1行分、または数行は必ず一つのセルに入れてください。もし、セルの途中で折り返したいならば、Altキーを押しながらEnterです。Macの方は、Option+Command+Returnです。

  2.  どんな表も上のセルと同じだからと言って、セルを空白にしたり、上に同じと言う意味で「〃」を使ったりしますが、これはやめましょう。後で並び替えたり抽出したりすることを考えると省略しないことが肝心です。

  3.  例えば、住所録などで分類が違うからと言って、複数のブックやシートに分けて作っている人がいます。ワープロではありませんから、是非一つの表として作って下さい。あとでそのメリットがわかります。表はできるだけ数が少ない方がよいのです。

  4.  日付は、2001/5/21という形式か、H13.5.21という形式で入力してください。満年齢、勤続年数の計算などExcelはお手の物なのですから。同様に時間計算も得意なので、正しい形式で入れると時給計算もOKです。

 ところで、以前(No14)で、「パソコンは表計算ソフト(Excel)の為にある!」と書きました。パソコンは今や何でもできるので、人によっては、ゲーム機だったり、インターネットやメール専用機だったりさまざまです。しかし、パソコンを買ってきて、ワープロソフトを使わない人が普通いないように、表計算ソフトも同じように、否、それ以上に便利に使って欲しいのです。「パソコンは表計算をやるもの」だと私は思います。表計算という名前では肩苦しいとしたら、単純に縦横の表になるデータのことで結構です。自分の周りを見ても表データはいたる所にあります。ヒットチャート、ダイエット体重推移表、確定申告・・・。仕事、趣味、生活でいくらでもあるでしょう。手作業では不可能なこともほんの数秒でやってくれますし、どんな人にも必ず便利に使える可能性があるのです。
 これで、表計算ソフトを数ある中の単なるひとつのソフトだ、などと思っている人はもういないでしょうね。


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ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------39

Excelはワープロソフト
ではありません!(前編)



 ずいぶんと意味深長なタイトルでしょう?ここ「パソコン相談室」へは毎日たくさんの生徒さんが、Excelなどソフトを勉強しに来られていますが、この言葉は日常的に私が使っているフレーズなのです。と言うのも、驚くべきことに、Excelで何ができるかは何となく知っていても、Excelは何をするためのものか、何をやらせることができるのかを分かっている人は残念ながら非常に少ないのです。
 こちらの用意した課題を使うこともあるのですが、生徒さん自身が作って持ってきたExcelのシートを見せてもらうとまずこれが100%、“ワープロ的”なのです。Excel本来の機能、持ち味を使わないで、ワープロとして使っている! それを絶対ダメとは言いませんが、非常にもったいないのです。使い方を間違えているのです。損をしているのですよ。どこでExcelを習ったのですか?と聞きたくもなります。Excelは、あなたが考えている以上に、ものすごいソフトなのですから。
 さて、その“ワープロ的”とは、どういうことかというと、Excelの良さを使わないで最後の印刷のことしか頭にない、丁度ワープロを使うときの感覚なのです。データとして活用しようという意識がない、ということを言いたいのです。Excelは、実は、何を隠そうデータベースソフトでもあるのです。ちょっと高度かもしれませんが、1)データを入力すること、2)データを蓄積すること、3)データをきれいにレイアウトして印刷すること、この3つを全く分離して作ることができるのです。そうすることにより貴重なデータを効率的に処理、解析、グラフ化できるようになります。
 兄弟ソフトであるAccessも全く同じ考え方で作成できます。ExcelとAccessの使い方の違いについては、別の機会に詳しく説明したいのですが、「Excelは自分で作って自分で使う、Accessは自分で作って他人(主に初心者)に使ってもらう」という側面があるということを覚えておいてください。
 “ワープロソフト”とは、ひとことで言うと、文章主体の印刷物を作って印刷するソフトです。最後のステップの印刷する、という目的をもったソフトなのです。他のソフトは、必ずしも印刷しなくてよいのです。画面上で見えていることがワープロソフトの全てなのですが、表計算ソフトは、見えてない機能の方がとても大事だったりするのです。
 ここで、Excelを開発したマイクロソフト社とその作者である、ハンガリー人のチャールズ・シモニー氏に感謝することにしましょう。もちろんその前身ともいえるロータス社の123やそのまた昔のマルチプランやビジカルクなどExcelにたどり着くまでの数多くのソフト達にも感謝です。


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ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------38

パソコン教室が
なくなる日・・・



 ご存知でしょうか、NTTのタウンページに「パソコン教室」が新設されたのを。えっ?と思われる方が多いと思いますが、前年まではワープロ教室とコンピュータ学校はありましたが、パソコン教室というジャンルはなかったのです。
 さて、パソコンはこの数年来の大ブームで習いたい人は多いようですが、本当にパソコン教室は儲かっているのでしょうか?大々的な宣伝をやるような大手は別として、一般的にはあまり儲かる業種ではないと想像します。他の実務教室に較べて、設備費、人件費などの経費が多い割に、料金は比例しては上げられないのですから。
 ここでは、パソコン教室は儲からない、だから無くなるという狭い話ではありません。なくなる理由は、次の4点です。
1.『モノが良くなった』パソコンおよびソフトの完成度がある程度ですが、上がってきており、指導を受ける必要がなくなってきた。
2.『人間が良くなった』いわゆるパソコンアレルギーの世代が少なくなり、TVゲームで育った世代と入れ替わってきた。つまり、説明書、説明者は不要で、攻略本さえあればよいのである。
3.『会社が良くなった』会社、職場などで仕事の指示を行う側の人たちのパソコンの理解度が上がったために、実務者のストレスが少なくなった。パソコン習得はそう簡単なことではないという事実が認知されてきたために、安易なパソコン教育だけで業務効率化が達成できないということがわかってきた。
4.『社会が良くなった』IT推進のための予算が全国自治体に津々浦々広くばら撒かれ、ほぼ無料の講習会が行われるようになった。役に立つかどうかは別として、価格破壊のひとつである。
 以上のことにより、パソコン教室の使命はそろそろ終わりに近づきつつあると私は思います。街中にパソコン教室がありますが、荒っぽく言えば、場所さえあれば誰にでも開設できる塾と同じです。実際に多くの学習塾はパソコンも同時に教えていますので、過当競争とも言えます。
 パソコンが十分に完成し、誰の世話にもならずに使いこなせる日は近いかもしれません。煩わしいことをすべてパソコン自身が解決してくれるような、そんなパソコンになれば、パソコン教室産業は跡形も無いでしょう。その時には、パソコンの真の活用方法をご指導できる当「パソコン相談室」のようなコンサルタント、SE(システムエンジニアリング)タイプの業態が残るでしょう。ちゃっかり宣伝をしてしまいましたが、その昔パソコンと言えば、BASICでしたが、今は違います。時代は思ったよりも速く進んでいるのですね。


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ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------37

ホームページの開設
と維持にかかる費用



 「ホームページ(以下、HP)を作りたいのですが、いくらかかりますか?」について、安易に回答することは避けなければなりません。以前、ここで次のように書きました。(cf.No23
 “HPは家造りと同じ考え方で結構です。プレハブか豪邸なのか、また、建て売りか注文住宅なのかでも全く金額が違います。”と。
 結局、質問している者がHPをどのように見ているか、どのくらいインターネットに精通しているかによって回答は慎重にならざるを得ないのです。
 数年前までは個人レベルでのHP作成は相当に敷居が高かったのですが、すぐれた作成ソフトの登場とインターネット情報の浸透によりかなり身近なものとなりました。実際にパソコンの初心者でもどんどんHPを公開できる時代になりました。このように標準的なHPを作ることの費用は格段に安くなったのです。同時に、HPの普及はHP作成業者にとっては旨みのないものになりつつあるのです。しかしながら、このように誰にでも作ることのできるHPなのですが、プロの出番もまだまだ残されている訳です。
 印刷物の代わりにインターネット上で表示できるページという捉え方も正しいのですが、一方、HPをそれ以上のもの、コンピュータソフトと捉えることも大切なのです。
 皆さん、ブラウザソフト(HP閲覧ソフト)はご存知ですね。HPを見るために必要なソフトなのですが、それを数あるソフトの中の一つと考えることは非常に狭い間違った見方です。WindowsやMacOSなどをシステムソフトとかオペレーティングシステムと呼びますが、実はそれに次ぐパソコンにとって重要な要素となっているのです。単純化して言うと、パソコンというハードがあって、Windowsソフトが縁の下で動いていて、その土台の上でInternetExplorerが動作し、さらに他の(すべての)ソフトがその上で動く、という図式なのです。こう書くと、まるでマイクロソフト社の戦略解説となってしまいそうですが、実際、最近発売されるソフトのいくつかは、常時インターネット接続していることを前提としているようにもなってきています。
 HPには広報や広告チラシを電子化してインターネット上に載せる機能だけではなく、HPという窓を通してその先には無限の可能性があるのです。HPをソフト技術として捉え、双方向性、データベース機能などいわゆるIT技術として活用しましょう。開設時にかかる経費もそれによって大きく違ってきます。
 維持費についてですが、HPの保管料(必要なら、レンタルサーバ代、ドメイン名取得料など)がありますが、人件費に較べれば非常に少ない金額だと思います。どれくらいの時間をかけてHPのメンテをするかで維持費は変わってきます。HPは更新しないと意味がない!のですから常に最新の生きた情報を公開する必要があります。HP開設は外部委託したとしても、その後の内容の見直しや更新は当事者が行うべきだと思います。そうしないと魅力あるHPはできないでしょう。
 以上のようにHP作成と維持には、その量と質(内容や機能)でピンからキリまでなのです。ですから、一般的な金額の即答は困難で、すべて個別の回答になるでしょう。というのがソフト業界からの見方、考え方でしょう。


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ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------36

古川判事はパソコン
の初心者だった!?



 先日の捜査情報漏えい事件の新聞記事を読んで、福岡高裁の古川判事はパソコンにあまり詳しくないなと思いました。妻のストーカー犯罪の証拠隠しで彼はパソコンの中のファイルを消したつもりだったようですが、警察はそのファイルを復元したとありました。
 私はここで犯罪の手助けをするつもりではありません。コンピュータ(パソコン)のファイルの保存と消去の基本的な仕組みについて知っておいて欲しいのです。
 ディスクには、ハードディスクやフロッピー、MO、ZIP、CD-ROM、DVDなど様々な記録メディア(媒体)がありますね。記憶容量、記録と読出し速度、価格、携帯性でそれぞれに特徴がありますが、どれもディスク(円盤)です。1分間に何千回転もしている円盤ですが、記録は細かい小部屋単位に行われているのです。ファイルの大きさにより、通常いくつかの小部屋(クラスタという)に分かれて保存されます。パソコンを買ってきた当初は、ファイルは連続した場所に整然と並んでいますが、使い込んでくるとだんだんと不連続になります。どういうことかというと、ソフトを削除したりすると空き部屋が出来ます。その後に別のソフトをインストールしたりファイルを追加保存したりすると、空いた部屋に順番に詰めていくからです。「ディスクの最適化」とか「ファイルの再配置」というのは、このバラバラになった断片化したファイルを連続的に並べるということです。年に数回程度でよいのですが、最適化を行うとファイルの読み書きが若干早くなるようです。
 さて、本題に戻りましょう。ファイルの削除とは、ファイルをデスクトップ上のごみ箱フォルダーへ捨てることですね。ごみ箱を空にしない限りそのファイルを元に戻すことが出来ることはよく知られています。しかし、ごみ箱を空にしてしまったらファイルは取り出せないのでしょうか。普通には取り出せませんが、削除した直後であれば、ある種のソフトやテクニックで完全に取り出せる可能性があるのです。
 ファイルの削除(ごみ箱を空にする)の仕組みですが、先ほどの小部屋をきれいにお掃除してデータを消しているのではありません。すべての小部屋を管理している台帳が同じディスク上にあってその管理台帳(FATという)からそのファイルの存在を消去しているだけなのです。さらにその消去も実に簡単で、ファイル名の先頭の1文字を消しているだけなのです。ですから、台帳を壊すか(ディスクの初期化)、空き部屋に別のファイルを書き込まない限り、元のファイルは100%そのままで残っているのです。
 要らなくなったパソコンを処分する際には、「ハードディスクを初期化してから!」ということが意外と知られていないのです。


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ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------35

CSVファイルで
初心者から脱皮を!



 パソコンの用途は人によって様々ですが、「パソコンの活用」で私が真っ先に思い浮かべるのはExcel(表計算ソフト)です。ここの No14でも触れましたが、実際「表計算」という呼称では収まらないくらい無限の可能性を持ったソフトなのです。同時に、その基礎であるCSV形式のファイル(以下、CSVファイル)の利用知識の必要性を強調したいのです。なぜならCSVファイルは、コンピュータが得意とするデータ処理の基本形式だからです。
 さて、パソコンの中にはいろいろなファイルがありますが、大まかに次の2種類に分けられます。プログラム(いわゆるソフト)とそのソフトによって作られるデータなど書類です。ちょうど、道具と作品または、工具と製品の関係に相当します。
 そのデータファイルの形式として2種類あります。バイナリーファイルとテキストファイルです。バイナリーとは2進数のことですが、難しいことではありません。Windowsのメモ帳、Macのシンプルテキストなどのエディターソフトで開いてみて意味ある文字として表示されるものがテキストファイルであり、それ以外のもの(意味不明の表示となるもの)がバイナリーファイルです。日常、使っているソフト(ExcelやWordなど)で保存したものは間違いなくバイナリー形式です。なぜならバイナリー形式ではファイルの大きさを小さくでき効率的だからです。例えば、文書ファイルの中には、文字の色や大きさ、フォントの種類、用紙設定など数多くの情報がまとめて同じファイルに保存されています。画像や音楽ファイルは元々文字情報でないのでバイナリーファイルです。
 では、テキストファイルはいつ作られるのでしょう。エディターソフトで作られるものは当然として、ExcelやWordの保存時に、テキスト形式と指定して保存とすると、文字属性などの付加的な情報はすべて落とされて保存されます。テキストとは文字通り、文章からなるファイルで、アスキーファイルとも呼ばれます。
 そのテキストファイルの中で特に重要な意味を持つものがCSVファイルです。各データの項目(フィールド)間をカンマ(,)で区切り、改行で行(レコード)を区切っている形式です。CSVとは、Comma Separated Value(カンマ区切りの値)の略ですが、この形式でのファイルは、シンプルがゆえにすべてのコンピュータ、そしてほとんどすべてのソフトで利用可能なのです。表計算ソフトや宛名書きソフトにおいて、CSVファイルで保存しておくと、他のソフト(もちろん宛名書きソフトにも)に簡単に移植可能なのです。表形式ファイルの基本形とも言えます。


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ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------34

こんにちは21世紀の
パソコン・ライフ



 21世紀という時代の幕がついに開きました。先月号の続きとなりますが、今後のパソコンの展望について少し考えてみましょう。
 20年前に現在のパソコンを想像することが困難だったのと同様に、今後の展開についてもさまざまな見方があります。はたして高速化、高機能化のバラ色ばかりでしょうか。パソコンは20世紀の記録すべき発明品ではないと言う人がいます。種々の技術の集り、複合品としてみれば単なる電気製品であり、発明者もいなければ誰かがノーベル賞をもらったわけでもありません。そうは言ってもパソコンの普及のお陰でますます情報の交流、共有が盛んになったわけでグローバル(世界はひとつ)的な社会となりました。
 ここでパソコンの定義が必要なようです。
 メーカがパソコンとして発売しているものは、1)人とコンピュータが対話するための入出力装置(主にモニターとキーボード)が付いていること、2)ソフトが自分で自由に追加して使える構造となっていること、の2つを満たしているものでしょう。必然的に一目でパソコンだとわかる外観となりますね。
 似ているのですがワープロ機やゲーム機は、パソコンとは言いませんし、洗濯機やビデオもパソコンとは言いません。 “中身は同じ”であるのに上記の1と2によりパソコンとは区別しています。“同じ”と言ったのは、どの機械も「頭脳であるマイクロコンピュータ(演算処理のICチップ)を持ち、メモリーがありプログラム(ソフト)で動いている」からです。
 場所を取る表示器(モニター)を多目的に使用するためには汎用パソコンが必要なのですが、もう一度目的別に特化する必要があるかもしれません。例えば、ワープロ機の復活が望まれます。
 いずれにせよ携帯電話やPDA(個人情報端末)も含めすべての電気製品が情報家電化し、ネットワークにつながり、そしてインターネットで遠隔地との相互通信が可能になるのです。職場から自宅の炊飯器のスイッチをオンにすることなどは、当然のこととなりつつあります。
 パソコンはこれからもますます高速化しメモリーとハードディスクは増大するのですが、用途によってはもう十分なレベルです。望むことは、パソコン教室の必要がなくなるようなすぐれたソフトと、信頼性のあるパソコンなのです。メーカの宣伝文句に踊らされることなく冷静に対応できるだけの知識と活用ノウハウをこれからも紹介していきたいと思います。IT革命はもう既に終わっているという業界の意見も多いのですから・・・。
 本年もご愛読よろしくお願いします。


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ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------33

さようなら20世紀の
パソコン・ライフ



 20世紀という時代の幕が降りようとしています。この20数年のパソコンについては歴史的にはきっと「パソコンにより犠牲者の出た時代」と書かれると思います。身体的に精神的に、そして時間的な損失は少なくないでしょう。初期のパソコンが普及し始めた頃は皆ひたすらBASICというプログラムを打ち込むことがパソコンの使い道だったのですが、あの頃を振り返って何と無駄な時間だったのかと後悔する人も多いでしょう。MS-DOSの知識はもはや役立たずになりつつあります。
 それにしても今のパソコンは知っておくべき最低知識が多すぎますね。日頃初心者を中心にご指導していて一番感じることです。私には、20数年間コンピュータ(パソコン)と付き合ったという経験があるだけなのですが、それが今では大いに人助けとなっています。壊れたパソコンをいとも簡単に治す姿は、神業?らしいのですが、本人は恐縮するばかりです。経験がものを言うパソコンの世界ですので、まだまだ職人の技が幅を利かす妙な世界とも言えるでしょう。パソコンについて勉強すべきことは際限なくありますが、トラブルに対しては長時間の経験とノウハウです。残念ながら、それが今のパソコンの姿だと言えそうです。
 さて、年の暮れというより、世紀の区切りです。そこで、この連載で何度も書いているとは思いますが、パソコンを学ぶ上での最低限の常識をまとめておきます。
1)パソコンは米国生まれであり、ほとんどのソフトは欧米人(米国人)が作っている。
 欧米人の文化、嗜好、ものの考え方が基準に作られていますので、この前提がないと理解し難い機能がいくつもあるわけです。
2)売られているパソコンは、紛れもないコンピュータであり、決して家電では有り得ない。 誤解を招くといけないのですが、汎用に設計されているパソコンは無限の可能性をもった賢い機械です。しかし、家電として再登場する場合には、それが専用に作られてないと使い勝手が悪いでしょう。マウスやキーボードは不要だと思いますよ。汎用機ゆえに車の運転のように短時間で習得できるものではないということを肝に銘じる必要があります。
3)パソコンは未完成な製品であり、ソフトには不具合(バグとも呼ぶ)が無数にある。  初心者の方が一番戸惑うことです。自分が買い求めたパソコンはまだ新しいから壊れないと思うのは大間違いです。貴重なハードディスクも壊れます。また、自分の操作ミスのせいでソフトが異常になったり、ハングアップ(フリーズ)すると思いがちですが、それは100%ソフトを作ったメーカ(設計者)が悪いのです。冗談ではありませんよ!

※とは言え、仕事を効率化し、生活、趣味を豊かにしてくれるパソコンを便利に使うことは今や必要不可欠なことなのですね。次回は、21世紀のパソコン・ライフについて考えてみます。


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ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------32

ソフトの値段はこう
やって決まる!?



 パソコンに限らず世の中のコンピュータのソフトは、「目には見えないけれど価値のあるもの」として現在は認知されています。しかし、20年程前には、「ソフトはおまけ!」という時代がありました。特にわが国では無形物に対する評価が低いのでその傾向も強かったようです。そして最近では物の価値の多様性により、ソフトには無料のものと有料のものが混在するようになっています。
パッケージソフト(市販ソフト)の場合
 パソコンのソフトでは、それが一般的(大衆的)であればあるほど競合製品も多いわけですから、価格については単純な市場原理で決まっているとも言えるでしょう。ソフトも工業製品のひとつなので原価計算して販売価格が決まりそうですが、他のすべての製品と異なる事情があります。それは、ソフトは独自性があり、他のものと置き換えがなかなか効かないということです。互換性がないものですから、できるだけ多くの購入者(支持者)を増やすことが最大の目的となります。即ち、競合製品をにらんでの価格設定となる訳です。「これくらい安くしないと売れないだろう」ということで、たぶん損益計算は二の次なのでしょう。
専門ソフト(データ処理関係)の場合
 この分野のソフトには競争が少ない分ずっとメーカには有利です。逆に、購入者には大変不利です。自作する場合を除いて、気に入った(自分の目的に合った)ソフトは買わざるを得ないのが実状です。特に物理系や工学系のソフトには”相場”というのはないようです。残念ながらソフト会社の言いなりです。「これくらい高く設定しても買ってくれるだろう」という最高価格を検討する訳です。
受託ソフトの場合
 あるユーザ向けに特別に作られるソフト(受託ソフト)に関しては、ホームページ作成と同様に、注文住宅を建てることと似通っています。ただし、材料費としては、電気代や開発用ツール(ソフト)くらいなもので、原価の大半が家賃と人件費でしょう。大雑把に言うとひと月当たりのそれらの経費を人数で割ったものがソフト会社の単価となり、これを基準に見積もりを提出し受注額が決定されます。ただし、大規模なソフトの場合には入札方式となりますが、特に公共関連では利益を度外視した1円入札などもあるようです。ソフト作成を担当した以外の業者では保守やソフト改善は事実上不可能ですので、受注することが最大の関心事かもしれません。無料またはそれに近い価格でソフトやホームページを受注してもあり、その損失分は後で十分に元が取れると踏む場合もあるということです。
フリーソフト
 無料ソフトということで、フリーソフトやシェアウェアという非常に重要なテーマがありますが、これについては別の機会に触れます。


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ドクター黒ひげのパソコン・コラム------------31

メーカの立場からの
パソコン事情



 現在のパソコンは、初心者にとってはまだまだ未完成品であるということは周知の事実ですが、ほぼ半年毎に(ボーナスシーズンに合わせ)新製品が出ます。しかし、新しい機能が追加されたパソコンを購入するということでしたら(もしパソコンが大好きなら)、約2年ごとに買い代えればよいのです。メーカの都合に合わせて急いで買う必要はありません。ここで冷静に考えてみましょう。
 「なぜメーカはこうも次々と新製品を出し続けるのか」の答えは極めて簡単でしょう。技術の進歩はもちろんあるのですが、数多くのパソコンメーカの競争による低価格化により利幅が限りなく小さくなったために、数多く売り続けて生き残るしかないのです。
 パソコンは、ご存知のように元々はコンピュータなのですが、ワープロやインターネットも出来るということから家電製品として位置付けられるようにもなりました。ただし、冷蔵庫やテレビの機能はどれも似ていますが、設計は各社まちまちなのに対し、パソコンは他の家電とは異なり外見こそ違いますが、中を見るとどのメーカの物も設計的にはほぼ同じです。少なくとも日本のメーカでは技術者が電気回路を設計したりすることはもはやありません。機能ごとの部品(と言ってもプリント板や大きな単位のものです)を台湾などから安く調達し、組み立てチェックし、販売しユーザのサポートをするのが日本のメーカの仕事となっています。
 今やパソコンは、極言すると“安さ”をアピールするしかない寂しい世界です。もちろん車と同じでランク(主にスピード)はありますが、他社と差別化する要素が少ないが故に、とにかく魅力的に見える新製品を次々と発表し、多くのパソコンファンに買い換えてもらう必要があるわけです。(Macについては、独占的に製造・販売しているので例外ですし、プリンター、デジカメ、スキャナーなどは各社の設計や機能が大きく違うのでパソコン事情とは全く異なります。)
 「ソフトはなぜバージョンアップするのか」については、ハードと同様な面もありますが、ソフトメーカの売上げの問題があります。劇的な何かが起きない限り、一部のソフトではこれ以上大幅なソフトの機能改善はないとさえ私には思えるのですが、実際5年前に発売されたワープロや表計算ソフトで十分かも知れません。それ以降の機能追加は、なくても支障のない機能改善が多くて“詐欺だよ”と思うこともあります。ただ、メーカも利益を得るために必死なのでしょう。少しでも新機能(必ずしも有用でない)を追加し、従来の機能を改善して新しいバージョンとして発売するのです。本当はもう欲しくないと思うのですが、密かに不具合(バグ)を修正したりしているので、それを期待して購入します。この状況はしばらく続くかも知れませんね。


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